Dangerous Mind

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帰宅して、シャワーを浴びて、コンビニで買った焼きビーフンを食べて少し休んだ後、事前にまとめておいた大荷物を担いで、電車で成田へ。今回人生初の飛行機移動である。なぜ今まで乗らなかったかというと、墜落した時に助かる可能性がとても低いように思えるからで、五、六年前なら、結局それが理由でアメリカには行かなかったか、船か何か別の移動手段を考えたかもしれないが、自分も年をとって生に対する執着が薄れてきたのか、今回は「もうその時はその時だろう」という諦めに似た覚悟が初めからあって、深く考えずに搭乗手続きを済ませて用意されていたジャンボジェット機、UA870便に乗り込んだ。スチュワーデスはみな筋肉質で、スチュワーデス物語もCAとお呼びも全然関係ない上空5000フィートの世界はビールが飲み放題な上、思っていた程揺れもなく、途中寝ぼけて新幹線に乗っているのだと勘違いしている時間があったくらいだった。で、すんなりロサンゼルス空港に到着。正直、福岡に行くのと感覚的に変わらず、文明は本当に発達しているのだなーと、思った。
三日連続で移動しながら椅子で寝ているが、何の問題も無く体調はとても良い。こういう生活が本当は自分には合っているのだ。
アメリカは乾燥している、と聞いていたのだけど、ロサンゼルスは適度に湿気があって過ごしやすい。タクシーでホテルへ。楽天トラベルの不手際で予約が成立していなくてチェックインできず、しばらくロビーで待たされる。荷物係の黒人のおじさんがキーボードに関心を示して見せてくれ、という。彼はオルガンプレーヤーであるとのこと。暇なので、一人で近所をブラブラ。NBAの会場がすぐ側にあり、ちょうど試合が終わった時間で通りに人が大勢歩いていた。白人ファンが大部分。黒人の物乞いの人に金をくれと言われる。ノーと答えるとどっかに行ってしまう。日本に比べてアメリカの方が乞食が積極的で(そもそも東京にはホームレスはいても、乞食は殆どいない気がする)、詩やメッセージを段ボールに書いて発表している人が多く、他にも花を売っている人や、服がきれいな若い女の人、聞いた話では、植え込みで自分自身をカモフラージュして通行人を驚かすために一日中しゃがんで待っている人もいたらしい(muddyworldがサンフランシスコで出会ったとのこと)。
アメリカは、階層や人種で住むエリアや生活スタイルがはっきり分かれているけど、別階層同士のコンタクトの機会は多く、これは今回訪れたどの地域にも言える事のようだった。(ただしNYはその傾向が少し弱いように感じられた。ホームレスがうつむいている生活している街。)
到着してから雲は一つも見えず、日差しがとにかく強い。
ホテルに戻ると、仲間が一人増えている。渡米前にmyspace経由でコンタクトをとっていたLee Popaだった。LAでのライヴのセッティングをお願いしていたのだが、それはかなわず(今回のツアーはSXSWの出演日がなかなか決定しなかったため、それ以外のライヴをブッキングするのが後手後手にまわってしまった)、代わりに観光案内でもするよという事で、わざわざホテルに来てくれたのだった。出発直前にライヴをやったり、大阪に行ったりしていたのでちゃんと連絡がとれず、会えないかなーと思っていたので、とても嬉しい。たまたま宿泊先の近所に三日前に越してきたそうで、部屋がとれないなら、自分の家に来いよとまで言ってくれる。会ったばかりなのに、何て良い人なんだろうと思う。この旅で、何度も思った事だが、アメリカで出会った良い人たちは、本当にどこまでも良い人で、親切で、楽しい人たちだった。後から考えると、驚くべきレベルの親切心と余裕と思いやりを持っている人たちばかりで、全てその人たちのおかげで今回の旅は本当に有意義なものになった。
Leeが交渉してくれてホテルにチェックインできたので、荷物を置いて、彼の家へ。奥さんのJoleeと対面する。彼ら夫婦は一緒にpink side of the moonというバンドをやっている。Leeは大メジャーどころのプロデューサー/サウンドエンジニア(手がけたバンドはKilling joke、ministry、KMFDM、TOOL、X-JAPANのHIDE、OUTCAST、BAD BRAINS、DAMNEDなどなど多数)なのだけど(いや、むしろ「なので」というべきかな)、気取ったところが一つもなく、純粋に音楽好きの(殆ど「偉大」という言葉が似合うレベルで)優しいおじさんで、言葉は通じないけど自然に仲良くなれた。
夕方から夜にかけてLAのダウンタウンをLeeとJoleeが案内してくれる。メキシカン・ストリートは活気があってとても楽しい。物価は全体的に日本とあまり変わらない感じだった。カトリックの宗教画のブレスレットを購入。武田さんと合流してメキシカンレストランで食事。肉が沢山出てくる。自分が意外に肉食であるという事にこの時初めて気付く。以降の旅程では朝から肉とタコスを食って、夜も肉とタコスを食って、その後さらにタコスを食っていた。店内では金髪ネーチャン大集合のセレブパーティーのようなものが催され、流しの楽隊がテーブルを廻っていた。その後、リトルトーキョーのバーに行って、日系人のおじいさんが演歌のカラオケを歌うのを聴いたり、夜のウォルトディズニーコンサートホールを眺めたりした。二人のおかげで思いもよらず、大充実の観光になった。

今回の荷物。これで二人分。夜逃げクラス超だけど旅行中は結構持ち歩いた。

LAでは壁に直接広告がペイントしてある建物を沢山見た。消す時大変そう。

メキシコ人街。とても良い所。

イーグルスのホテルカリフォルニアのジャケ写の所。

晩飯食ったレストランの屋根にいた猫。8時過ぎだけどまだ明るい。