Dangerous Mind

Dangerous Mind

2019.9/1〜9/15

9/1 Sun
子が生まれてから、会話の9割が「糞尿」。
長らくランキング圏外だったテーマ「うんこ・しっこ」が、小学生以来の赤マル急上昇で、話題部門の一位を奪取・独走中である。どの家庭もそうなるものなのか。とりあえず、便がこんなに身近にある暮らしは初めてだ。振り向けばヤツがいる、という感じ。それは朝だろうが夜だろうが、仕事中だろうが、食事中だろうが、就寝中だろうが、好きな時にお構いなしにやってくる。
色、硬さ、臭い、効率的な処理の仕方、関連アイテム、服についたり、地面についたり、手についたり、顔についたり・・それについて語るべき事は日々、大いにある。

9/2 Mon
ギターの指弾きの練習。右手の5本の指が、それぞれ一つの和音の異なる度数を担っているということ、その役割が刻々入れ替わっていくことにあらためて、思いを馳せる。

9/3 Tue
駅前のギター工房に、20年使ったフェンダージャパンを持ち込んで、磨り減ったフレットを打ち替えてもらう。20年前に池袋パルコのイシバシで買って、それ以来、概ねこれ一本しか使っていない。新品だったのに、いつの間にかビンテージ手前の域に達しつつある。
10万足らずで買って20年。もしこれが、フェンダー社によるサブスクリプションだったとしたら現時点までで月400円。メンテ、弦代など入れたら¥1000ちょいくらい。こういう計算をすぐしてしまうのが、一番の馬鹿者だ。

9/4 Wed
だいぶ前に友人が置いていった使ってないアコギを、こまどりさんに地元駅の改札越しに差し上げる。代わりに「獅子舞無料券」を2枚、進呈される。

9/5 Thu
赤ん坊との生活ペースがだんだん出来てきて、以前と同じペースで仕事できる時もある。夜まとめて寝てくれる子なので、早起きができれば大丈夫だ。

9/6 Fri
アトランタ」シーズン2を見始める。最近のドラマ、というか、映像作品全般で間違いなく一番好き。自分の感覚のアップデートは、全てこのドラマ頼みと言っても過言ではない。
ドナルド・グローバーは時々、恥骨の大隈さんに似ている。

9/7 Sat
K家来訪。5ヶ月先輩坊やにビビりきって、寝たふりでやり過ごそうとする我が娘。乳児の3kg差は果てしなく大きい。案の定、帰った後、大泣きする。がんばれ娘。
夜中に目覚めて、全裸監督を一気見する。撮影のシーンで感動して泣く。
だが、劇伴はテンプで当たっていたであろう既存曲が時々垣間見える感じで、残念。

9/8 Sun
赤ん坊との散歩で始まる朝。この地域では、一年を通じて、様々な渡り鳥が川にやってくる。
もっとも、子は今のところ、自然に全く興味がない。外に出るとしばらく苦しそうにジタバタした後、寝てしまう。太陽と風よりも、LEDとエアコンを明らかに好んでいる。
人間が自然を好んだりするようになるのは、物心ついて、本人が自然とはっきり分離してからなのかもしれない。赤子にとっては、自然は大人よりもいっそう恐ろく、不気味なものであって、決して愛でる対象ではないのだろう。

9/9 Mon
bandcampにアルバム載っけてみようと思う。ただ、売れないんだよなあ、bandcamp。paypalが日本で、特にバンド界隈では、今ひとつ普及してないからか。

9/10 Tue
web関係の情報の修正など、膨大に時間がかかる。インターネットの世界にどっぷり浸かって半日ほど過ごすと、何だかドットの海に生きた時間を吸い取られていくような気分になるが、そろそろ20年以上の付き合いになるインターネットさんを嫌うのは、もう止めようと思う。現状、嫌いだけど役立つから利用してる、という感じで、これが、もし相手が人だったとしたら、かなり不健全な関係を長年引きずってしまっている感じだから。

9/11 Wed
bandcampでLaminaを、どうにかこうにか公開する

9/12 Thu
朝から某オフィスで1日録音案件。ほぼ毎日家で制作か子供の世話なので、たまに外に出られて嬉しい。

9/13 Fri
musescoreというフリーソフトで譜面を作っているが、手書きに比べてだいぶラクなので、もっと早く使えば良かった。

9/14 Sat
お宮参りへ。これから節目節目で様々な行事があるらしい。七五三とか、ひな祭りとか、背中にお米を背負わせる行事とか、お食い初めとか。
お食いそめという言葉は、「食う」に接頭語「お」が付いているが、これが仮に「お食べ初め」だったら上品すぎるし、「食い初め」だったら、そっけなさすぎる。「食う」という、根源的で動物的な言葉に「お」がつく事で、野蛮さのニュアンスをチラリと残したまま、社会化し、儀式化する事ができる。
こういう言葉の用法の微妙なニュアンスが好きだ。

9/15 Sun
以前の自分の音源を聞き返す。曲に余裕がないように感じる。待つべきところで待てていない。時間の概念がまだ育っていない。

2019.8/16〜8/31

8/16 Fri
居間に機材を広げ、16trレコーダーのテストをする。
月末の壊れかけのテープレコーダーズの録音のために、2019年製のデジタルレコーダーを買ったのだった。10年ほど前に、彼らのファーストアルバムを録音して、久しぶりに今度、6枚目のアルバムを録る。

録音技師として、モグリの活動を、10年以上続けている。音楽作家としても、アーティストとしてもモグっている。
今、逮捕されれば、新聞やテレビなどで「自称音楽家の男」と呼ばれる事請け合いだが、その状態で10年食ってるので、潜る能力があるのだと思う。自分の事はプロダイバーと呼んで欲しい。グレーゾーンにダイブし続け、いつか何かを残したい。
 
8/17 Sat
自分は少し過保護に育てられたかな、と思っているので、なるべくほったらかせる所は、ほったらかしたいと思っているのだけど、いざ育てると、その塩梅は難しい。
その辺の微妙なさじ加減を今後極めていきたいが、それには母親との細かな連携が必要になってくる。
ゴルフのパターみたいに、強すぎず、弱すぎず、丁度良いポイントに、子へのアクションを着地させる、その蓄積が、子の安心と自由を育てるのかもしれない。

8/18 Sun
昼、上野公園へ、あるお祝いというか、旅立ちというか、そんな席へ招かれる。紛れて我々も祝っていただき、久々の友人達にも会えて感謝。

8/19 Mon
夜、再度H.mountainsとスタジオ入り。彼らは探究心と有能さを併せ持った音楽集団である。歌い出しの直前にキーを+6変更しても、平気で全員合わせてくる。

8/20 Tue
「漢字・ハングル 書の饗宴」展を見にいく。名前を考えていた時期に、書の世界に興味を持ったのだった。書家の筆跡が、字の原型から離れてほとんど抽象画のようになっている時、その字や文がもともと担っていた意味は、どの辺りに漂っているのか。普段、意味に従属している、字の形が解き放たれる様子が、筆跡や筆圧などの即興的なライブ感を伴って、そこに記されているのは、絵画的でありつつ、録音芸術のようでもあり、他に無い表現と思う。

8/21 Wed
吉祥寺NEPOにてH.mountainsのワンマンライブにゲストで登場し、「まつり」を熱唱。自分では、自分のことを、まず第一にコンポーザーで、第二にギターだと思っているが、周囲からはただの変なヤツだと思われているので、大体、何かやってください、的な依頼で呼ばれて、何かやって、帰るのである。
この編成で片田舎の村祭りなどに呼ばれ、できれば、歌って生きていきたい。

8/22 Thu
昨夜はライブ後、道に迷い、ガマガエルの巨大な鳴き声に怯えながら、狭山湖のあたりをさまよっていた。疲れ切って部屋の掃除などして過ごす。

8/23 Fri
母娘が家に戻ってくる。寿司の出前などとって祝う。寿司桶に収まってしまいそうなくらい小さな娘。本格的に3人暮らしが始まった。

8/24 Sat
ベビーカーを買いにヨーカドーへ。トータル2時間ほどの外出だったが、赤ん坊は疲れ切ってしまった。ずっと抱っこされていても、外出して、店に入ったりするだけで、屋内より刺激が多く(音や光など)、疲れてしまうようだ。抱っこ紐の中に埋もれて、グフグフ言い始めたので、心配になって早足で帰宅する。

8/25 Sun
昨日買ったベビーカーに乗せようとしたのだがセッティングに手間取り、娘、大激怒。大変覇気のあるというか、気性の荒い子である。自分も本来そういう人間であるような気がするのだが、生き抜くために周囲の環境に合わせて形を変えてきたので、いつの間にか、本来の自分がどんな感じだったか、あまりわからなくなってしまった。
娘はできれば今のまま、自分を曲げずにまっすぐ育ってほしいし、そのサポートを出来る限りしていきたい。

8/26 Mon
evidenceのカバー音源の作業。セロニアス・モンクの四次元的な曲。

8/27 Tue
録音準備など。

8/28  Wed
西荻フラットのだだっ広い部屋でレコーディング。ベーシック一発録り。サクサクと順調に進む。

0829 Thu
録音二日目。ベーシック+オーバーダブで予定通り録りきった。新調したレコーダーもトラブルなく、ipadからの操作も便利で、導入して良かった。

8/30 Fri
疲れて寝る。

8/31 Sat
Y家遊びに来る。娘は客が来ると、普段と違っておとなしく、だいぶ良い子にしている。声も1オクターブ高くなる。客が帰ると、途端にカツオの同級生の花沢さんみたいなダミ声で騒ぎ始める。なかなか良い性格していると思う。

2019.8/1〜8/15

8/1 Thu
母娘が明日退院。個室にはミストシャワー(って今まで存在すら知らなかったけど、パイプに空いた無数の穴から蒸気が吹き出すタイプのラグジュアリーなシャワー)が付いていて、何度かシャワーだけ使わせてもらっていたのだが、使い納めである。

8/2 Fri
午前11時に母娘は退院し、そのままタクシーで埼玉の実家へ。午後、都内へ出て、 ある声優の歌の収録。正直、修正しがいのあるセッションである。

8/3 Sat
夜、秋葉原へacid mother's templeのライブへ行く。うっちーは何だかsexyなベースを弾いていた。

8/4 Sun
1日12回の授乳で子はスクスク育ち、母はみるみる痩せていく。昼も夜もない生活。まあ、男は大して辛くない。

8/5 Mon
ついに・・命名した。超超超、良い名前、偶然も重なり、100点満点の名前を思いつく事ができた。
その名をここに書きたい、というか、一度、名付けの経緯やら、それに因むエピソードやらを、詳しく長文にしたのだけど、考え直して消す事にした。
こんな小さな場であっても、名前を公表することが、将来的に、子にとって何らかのリスクを呼ぶ可能性を考えてしまう。
今の世の中、検索したらすぐ様々な情報が出てきてしまう。今後はもっとそうなっていく。
もちろん心配しすぎだとも思う。明らかにナーバスにはなっているので。

でも、今、どのようにしたいかを本人が選ぶ事はできない。
一方、書きたい理由は、ただ単に自分たちが良い名前を思いついたので、自慢したい、殆どそれだけ。
なら、グッと我慢で別にいいかと思う。
写真も載っけたいのだけど、同じ理由でNGだ。そのうち絵でも載っけたい。
こういうのは現代ならではの悩みだな。

というわけで、超良い名前なので、直接会った時には聞いてください。

8/6 Tue
某AIアドバイザーに株を買ってもらうため、金を預ける。現金が必要な時期をどうにかやり過ごしたので、これからは運用する。昔、投資についてのドキュメンタリーで、ウォルト・ディズニーの娘だか孫だかが、金を預けておけば、金と金が勝手にsexして殖えるのだと言っていて、何だか露悪的で嫌な表現だった。「貧乏人はこっちのゾーンには入ってくるなよ」的な意地悪さが低意にある表現だった。
その頃から時代は変わって、今は別に資産家でなくても、超がつくほどの少額から運用を始められるし、勿論そこに罪の意識など持ついわれはない。
預けっぱなしで放ったらかしにしておくだけなら、銀行預金と手間は変わらない。
もちろん投資なので、減るリスクはある。

8/7 Wed
市役所から赤字で訂正が入りまくったが、出生届がどうにか受理される。書類を書くのが本当に苦手だ。もともと苦手なのが、苦手意識を持つ事で、より苦手になっていく。夜、H.mountainsと新宿のスタジオに入り、熱唱して喉が涸れる。

8/8 Thu
毎日、深夜に妻の実家に行き、朝まで子の世話をして、昼は自宅で働いている。それで、テレビのワイドショー的なものを目にしなくてはいけない機会がたまにあるのだが、本当に酷いものである。今は吉本の闇営業と、煽り運転と、N国の話題を代わる代わる流しているのだが、果たしてそれらの話題に心の底から興味がある人間が存在するのか甚だ疑問だ。ワイドショーは長年、通奏低音のように、この国を腐らせ続けている。毒ガスみたいなものだ。

8/9 Fri
かつての仕事先の社長と仲間が出産のお祝いをしてくれる。そして、飲みすぎて、終電をなくし、カバンもなくした。気がついたら、月が綺麗な住宅街を手ぶらで歩いていた。

8/10 Sat
カバンは飯能駅にたどり着いていて、ありがたい事に中身は全て無事だった。この日は、ものすごい暑さで、熱中症の危険を感じた。落合川に寄って、素足を水に浸らせる。川が近くにあるのは恵まれた暮らしだ。

8/11 Sun
神楽坂にて、即興二人組の「恥骨」による、恥骨祭に出演。彼らの演奏とともに「まつり」をアカペラで熱唱。良い出来と思ったが、反応は特に無し。面白いイベントだった。
直接のやり取り以外で、子が生まれた事を誰にも知らせてない。SNSにでも載せれば、しばらく会ってない同級生や友人知人にうっすらお知らせできるなあと思うが、まあ別にいいかなと思う。どうしても知らせなければいけない必要はないし、直接会う事があれば祝ってもらおう。

8/12 Mon
翌日のライブに備え久々に自宅で寝る。

8/13 Tue
2週間検診。タクシーに乗って緊張する子。こちらも慣れておらず、抱っこ紐に入れるだけで、てんやわんやの大騒ぎだ。夜は円盤でソロライブ。なかなか良い感じの盛り上がりを見せる。対バンのこまどり社員さんは副業で獅子舞をやっているらしい。

8/14 Wed
夏バテな1日。

8/15 Thu
タカシ氏のベースは、楽々と音楽を奏でていた。西永福JAM、松崎ナオさんのライブにて。
新宿から移転したJAMは、綺麗で現代的なライブハウスになっていた。

2019.7/16~7/31

7/16 Mon
映画「ザ・サークル」見る。面白くなりそうな要素に溢れていながら、ほとんど面白くならない、消化不良感に満ちた映画である。
検診に行く。今すぐ出てくる気配はない。

7/17 Wed
入院等のことで心配事多く、水の音楽が進まない。眠気をおさえるために10分ほど寝ようとして、そのまま数時間寝てしまう、というのを繰り返す。
気ばかり急っていて、実際のところは寝てばかりいる。

7/18 Thu
「Blues5」PVの編集作業。映像は、編集の仕方によって、様々なストーリーが発生していく様子が面白い。
ストーリーは、映像と、見る人との間に発生するので、映像内の情報純度が高ければ高いほど、ストーリーは誤解なく伝わる。逆に情報の純度が低ければ、受け手の側がそれを補ってストーリーを作り出す余白が生じる。そのさじ加減を時間の経過とともに上手にコントロールできているのが、上質な作品だと思う。しかし、そんな上出来な作品は稀で、監督の手元に狙い通りの素材が集まる事も余りないので、良くも悪くも作り手の意図していないもの、予想を超えたものができあがる。そういう生物っぽさが、映像にはある。音楽よりも、さらに不確定要素が多く、コントロールしにくいところ、ある程度運任せなところが、面白い所だと思う。

7/19 Fri
水の音だけで曲を作っているが、難しい。例えば水滴をリズムにしたりするのは、いかにも説明的で、ありきたりな感じ。気を抜くと、小山田圭吾が20年前にやってたような曲になってしまう。
別にありきたりでも上質ならそれで良いのだけど、上質なありきたりを成り立たせるのは、それなりにセンスの要る技だ。

7/20 Sat
出産予定日が迫ってきた。比較的、乳幼児と一緒に入店するにはハードルが高いと言われる炭火焼肉へ。

7/21 Sun
夜中に一念発起して壁際にあったソファを窓際に移すと、不思議と気分が変わって物事に集中できるようになったのだった。

7/22 Mon
停滞していた音楽制作が軌道にのる。部屋の模様替えにより、作業効率が上昇したのか。部屋にある物たちは住人に対して無言のメッセージを発しているのだ。

7/23 Tue
Blurの「Girls and Boys」の、ギターとコーラスの不協和な良さ、の謎を解明したいと、高校の時に思って、それから20年以上何もやっていない。Blurってなんか不思議なバンドなんだよな。ダイレクトに良い部分が余り無い、が故の、良さ、というか。
その昔、リボルバーに入っているポール・マッカートニーの曲「Got to get to into your life」を初めて聞いた時、ブラスが入ってきて、おお、これから盛り上がるのか、と思ったら、肩透かしで「パパッパー」とか言ってすぐ終わっていく、その展開に、諸行無常というか、人の道を外れた非道さを感じたのだが、それに通じる肩透かしなセンスがあると思う。それがイギリス、ということなのかもしれない。それはきっとコウモリ傘とフロックコートの下に何かを隠し持った変態紳士の文化である。

7/24 Wed
14時に妻入院する。「誕生」というプレイリストを作る。お産に臨む、まさにその時、自分にできる事はそれくらいしかなかった。あと買い物とか。せいぜいストレスの種にならぬよう振る舞いに気をつける。いざと言う時、男にできることは、それくらいしかない。

7/25 Thu
久しぶりの晴れ。朝から促進剤を投入。・・物凄く辛そう・・、隣の部屋から別の女性のうめき声が聞こえてくる。出産に臨む妊婦だけが入院する産院のこのフロア(2F)は、文字通り生死のかかった現場で、戦場のようにピリピリしている。「誕生」プレイリストなどは流す余裕はない。というか、音楽自体、必要とされていない。廊下で、うっすらと、聞こえるか聞こえないかくらいのボリュームでモーツァルト(多分)がかかっている。
夕方まで頑張るも、この日は誕生せず自分は帰宅。翌朝早朝に産院へ行く事に。

7/26 Fri
私はその朝、まず近所の神社にお参りに行き、その後コンビニでコーヒーを買って店の前で飲んだりして、比較的優雅に過ごしていたのだった。そしたら、電話がかかってきた。早朝の病院で、妻は手負いの獣みたいに暗い部屋で唸っていた。血圧が上昇している関係で部屋を暗くしているとのこと。隣の部屋から別の妊婦たちの絶叫が聞こえ続ける。お腹の中の赤ちゃんの心拍を計測する機械にはコンタクトマイクが付いていて、その音は馬の蹄のようなので、馬に乗った我が子がこちらにむかって砂利道を駆けてくる様子が脳裏に浮かんだ。
結局、朝一番の医師判断で帝王切開となる。処置室の鉄のドアの前でしばらく待っていると、猫のような「アアー」という鳴き声が聞こえ、それは娘のこの世での第一声だった。それは、やはり、とても美しい声だった。そして、赤ん坊を初めて膝に抱いた時、重量にも美しさがあるという事を知った。

7/27 Sat
前日、博多から応援に来てくれていた母親を東京駅へ見送る。面会可能時間まで間が空いたので、ステーションギャラリーでメスキータ展を見て、15時に病院へ。赤ん坊は初めて両目を開けて、その眼を見せてくれる。乱反射して、焦点を結ばない幸福。

7/28 Sun
娘は今日初めて乳を飲んだ。沢山飲んだ。誕生以降、音楽の歌詞の意味が全て更新されて聞こえてくる。以前は陳腐にも思えたJ-popの歌詞が、異常に心に入ってきたりする。ウルフルズの「バンザイ」とか、何て心にフィットする曲なんだろう、と思う。Beatlesのsomethingの歌詞が全て自分の娘の事を歌っているように思える。

7/29 Mon
帰宅して、引き続き「Blues5」PVの編集。1カットだけ追加で撮影したい箇所が出てくる。そのカットがあれば、この短い物語にも何かしらのオチが付きそうだ。Nさん、A君が病院に見舞いに来てくれる。その後、一人で公園に行き、使い古したネクタイを木に引っ掛けて、それが風に吹かれている様子をipadで撮影する。

7/30 Tue
子の名を考える日々。生まれる前に検討していた候補が幾つかあったが、そのうち好々(ここ)ちゃん、好(はお)ちゃん、仙阿(せな)ちゃん、雷鳥、などが早々と候補から消えた。
名付けというのは、親が子に与える最初で最後の究極的な詩だ。何せ、1文字〜最大5文字くらいで、祈りにも似た気持ちを子に託し、これから生きていく世界に対して、表明しなくてはならないのである。
名付ける者の価値観や、世の中に対する姿勢、またバランス感覚のようなものが総合的に表現される、強制参加の詩会だ。
会のルールとして、読み辛かったり、意味がわかりにくかったり、ネガティブに捉えられる字は敬遠される。使用できない漢字も結構ある。字画というファクターもある(うちは気にしないが)。その時代の名付けトレンド(ちなみに今は所謂「キラネーム」への反動から、やや復古趣味な傾向を感じた)との距離感の調整も大切な要素だ。
音と意味、そして苗字との組み合わせによって、生きる名もあれば、光を失う名もある。
生まれてきた赤ん坊の外観が呼ぶ名もあれば、避ける名もある。

これまでの知見を総動員して、最適解を導き出すべく、悩む日々。

7/31 Wed
赤ちゃんに聞かせるためのプレイリストを作る。一曲目は「ケ・セラ・セラ」。
ある日、娘が母親に尋ねる。私は将来、美しく、豊かに、幸せになれるかな?
母親は答える。未来のことなんかわからない、なるようにしかならない。
ケ・セラ・セラとは母親の造語の適当なスペイン語
クールな歌詞と甘ったるいメロディの組み合わせが最高な曲。
娘はやたら覇気のある、物凄い飲みっぷりで乳を飲むので、見ると笑ってしまう。

2019.7/1〜7/15

2019年7月1日〜15日

7/1 Mon
産科へGO。赤ん坊は腹の中で2617gに成長し、すでに我が出生時の体重を超えた。もういつ生まれてきても、不思議はない。
夜、me too運動渦中のウディ・アレンの『マジック・イン・ムーンライト』見る。

7/2 Tue
ジョー長岡氏のプッシュで、J-jazz.netでLaminaの曲がかかってありがたい。
もっと他にも取り上げてくれる媒体は無いものか。懸命に作り上げた作品が、世間の興味を惹かずに埋もれていく様子を見せつけられるのは、悲しいものだから。

7/3 Wed
修理に出していたプリアンプが戻ってくる。本体ではなく電源アダプターの故障だった。点検費用込みで¥5,000。
通電していたのでアダプターの故障は疑わなかったが、供給電圧が下がっていて本体の挙動がおかしくなっていたらしい。
アダプターだけなら¥1,000も出せば、替えが手に入ったのだが。

7/4 Thu
法大ポアソナードタワーにて水についての勉強会に参加。水についての音楽の構想を練る。音楽は音の流れなので、どれも水のようではある。

7/5 Fri
ミックスしたおとぎ話のDVD発売ライブへ行く。やわらかさのあるライブ。彼らは色んなライブができる。毎回セットリストも全然違う。バンドは時を経るにつれて、友人同士の絆が会社のようになり、その後、動物の群れや、生き物のようになっていく。

7/6 Sat
Cubaseのバージョンを10に。メロダインが統合されて使いやすくなった。メロダインの和音をいじれる機能は革命的だ。そして、このように革命的な機能であっても、アクセシビリティが低ければ、結局あまり試さなかったりする。

7/7 Sun
M一家が車で遊びにやってくる。小2の娘は、既にかなり複雑な会話ができる(選挙の話とかもできる)。自分が小2の頃は、まだ殆ど赤ん坊だったし、身の回りも似たようなものだった。人類はこの数十年でも進歩しているのではないだろうか。
ピザを作って食べる。

7/8 Mon
歌物案件のデモを仕上げる。こども向けの合体ロボットの曲。
ジョアン・ジルベルトが亡くなる。

7/9 Tue
「Blues5」PVのロケハン後、自分が関わった映画の上映に行くのだが、映写機の位置がおかしくて人が途中入場するたびに、思いっきり影がスクリーンに映り込んだり、会場の殆どの椅子がありえないくらい破れていたり、動線がおかしくて窮屈だったり、なかなかすごいミニシアターだった。あとで調べたらインターネット上でも割と評判になっていた。

7/10 Wed
隣町の洋食屋は噂に違わぬ良い店だった。二人で外食、というのは、産後しばらくできなさそうなので、周辺の目ぼしい店をできるだけ潰しておきたい。

7/11 Thu
都内の某公園にて「Blues5」のPV撮影。すぐに警備員がやってきて止められる。小雨の中、人通りも少なく、誰にも迷惑はかかってないのだが、何がダメなのか。こういうちょっとした部分のユルさの無さの蓄積が、文化を貧しくする。

7/12 Fri
前日、カメラを担いで激しくアクションしていた(カメラを担ぐ役だった)せいで筋肉痛がひどい。今日は「Lamina」のCD発売日である。レコンキスタの紹介文は、とても良いものをいただいた。昨日の撮影素材をざっくり繋いで編集を始める。夜、N家が車で来てくれて、いろいろとお古をいただく。

7/13 Sat
映像編集作業。一応の完成を見るが、まだちょっとよくわからないので一度寝かせる。まあ、よくわからないものを作っているのだが、そのよくわからなさが、まだボンヤリとしていて、よくわからない段階である。
夜、プライムビデオで「万引き家族」観る。

7/14 Sun
毎日雨が降っている。「ゲームの規則」を観る。動画配信系は過去の名作が弱いが、プライムビデオには多少ある。このままレンタルが衰退していって、配信だけになっていったら、その辺の需要はどうやって満たせばいいのか。高額のDVDを購入して見なくてはいけなくなるのか。そうなると、自然にあまり見なくなるだろう。昔はVHSのレンタルビデオ店が沢山あって、旧作も幅広く揃えてあったものだが、近年は、過去の埋もれた、あまり需要もないような作品(ジョン・セイルズの映画とか)に、うっかり出会える機会が、猛スピードで失われている。

7/15 Mon
I一家が車で来て、近所の川へ遊びに行く。男の子三兄弟の遊び方はワイルドで、巨大な石を投げ合ったりする。分娩の話など聞いて、いろいろ参考に。

OWKMJ 5th Album "LAMINA" 2019.7.12 ON SALE

f:id:kkaarr:20190304160708j:plain

track list
01. FWM
02. NEW2
03. JOHNSON
04. Blues5
05. 4X5
06. P=Poe
07. Noh
08. GONDO
09. MURO
10. Genius
11. Kyuden2018


Art work by <a href="https://www.yukiemonnai.com/biography-1/">Monnai Yukie</a>
Design by Terasawa Keitaro
Recorded by Tajima Katsuhiro at <a href="http://www.studio-tlive.jp">Studio TLive</a>,Tanashi,Nishi-Tokyo
・レーベル名:漫想社
・品番:mansodisk-012
・販売:<a href="http://bridge-inc.net/?pid=143314413">株式会社ブリッジ</a>
JANコード:4582237844818
・商品フォーマット:CD
・税抜価格:2000円<br>

"LAMINA" Digest Part 1 (track 01-06)<br><iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/DjnUYLHYK1o" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe>
"LAMINA" Digest Part 2 (track 07-11)<br><iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/mYShmB5VWJw" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe>
track03 "JOHNSON" Music Video<br><iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/O451mzPgK44" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe>
Digest tracks(Soundcloud)
https://soundcloud.com/kariu/sets/from-the-album-kk-by-kariu

売店情報(2019.7.12時点)
タワーレコード
渋谷店
横浜ビブレ店
札幌ピ
新宿店
池袋店
難波店


ディスクユニオン
お茶の水駅前店
神保町店
新宿日本のロック・インディーズ館
高田馬場
池袋店
吉祥寺店
下北沢店
渋谷中古センター
町田店
横浜関内店
横浜西口店
大阪店


・オンライン
レコンキスタ
https://www.reconquista.biz/SHOP/mansodisk012.html
amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/B07SK97JT5/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_9bckDb3EZ1KEP
bridge
http://bridge-inc.net/?pid=143314413
tower records
https://tower.jp/item/4915619/Lamina
HMV
https://lohaco.jp/product/L07183160/
DISK UNION
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1007933246
芽瑠璃堂
https://merurido.jp/item.php?ky=MANSODISK012
Rakuten
https://books.rakuten.co.jp/rb/15963324/
7net
https://7net.omni7.jp/detail/1301426388

・作品紹介(Followed by English translation)
2019年に「かつてない音楽」など作れるのだろうか。
正面からのオリジナルな作品など作れるのだろうか。
恐らくそれはとても難しい。
しかし、そういった気概を忘れずに、諦めずに続けていれば何かしらの手応えを掴むこともある。
東京を中心に長年活動するバンド「俺はこんなもんじゃない」の5枚目。
メンバーは、TVCMや映画の音楽、国内/海外の大型フェスの出演、音楽教師などとして、表立って活動をしている。
楽曲は、音楽の基礎に立ち返ったうえで、様々なアイデアを試しているような趣がある。
単純さも複雑さもあり、達者な演奏も、そうでない演奏も同居している。
年齢や出身など、9人のメンバー構成もバラバラである。
まあ、一言でいえばロック〜ジャズ要素のある、室内楽寄りの実験的なインストゥルメンタル音楽である。
しかし、そう言い切りたくない、余剰の部分、どこか割り切れなさというか、ある種の居心地の悪さのようなものがある。
そこには、目に見えないけれど確かに存在する時代の空気がある。

・プロフィール
俺はこんなもんじゃないと思っているドラムヤロー募集」という紙をたまたま目にして命名。そんな思いつきのバンド名のまま早、活動18年。
これまで4枚のアルバムを発表し、SXSWやアメリカツアー、イースタンユース主催の極東最前線などに出演。
近年はフルート、サックス×2、ギター×2、鍵盤、ベース、パーカッション、ドラムスの9人編成で、やや複雑な音楽を奏でる。
メンバーはそれぞれ、goat、MUDDY WORLD、しゃしくえ、1983、トクマルシューゴKenichiro Nishihara、王舟、などに在籍。
また、映画やCM音楽、楽曲提供の世界で作家として活動。
アルバムタイトル LAMINAはANIMALを逆読みしたものである。


·Detailed explanation:
Is it possible to make something like "unconventional music" in 2019?
Is it possible to make an original work?
Perhaps that's very difficult. However, if continuing without giving
up, not forget that kind of spirit, and we may get some response.
The fifth piece of the band "I'm not such a guy" who has been active
for many years, mainly in Tokyo.
Members are active as TVCM, movie music, appearances of domestic /
overseas large festivals, music teachers, etc.
The music looks like you are trying out various ideas after going back to the basics of music. It is both simple and complex, and both good and bad performers live together.
The composition of nine members, such as age and origin, is also broken down.
Well, in a nutshell, it's an experimental instrumental music with room
music, with rock and jazz elements.
But there is something that you don't want to say, surplus, something
indivisible, or some kind of uncomfortable feeling.
There is an air of the age that is invisible but certainly exists.

・Artist Profile:
Named by chance when saw the paper "I want a drum Yarrow looking for
something like this."
The band name of such an idea is as early as 18 years of activity.
Released four albums so far, and has appeared on the SXSW, the
American Tour, and the Far Eastern Forefront organized by Eastern
Youth.
In recent years, the flute, saxophone x 2, guitar x 2, keyboard, bass,percussion, drums, and nine people, playing a somewhat complicated
music.
Album Title "LAMINA" is a reverse reading of "ANIMAL".


member:
Takeda Yoshihiko - batería
Kariu Kenji - compose,electric guitar,mixing,mastering
Masuda Yuki - piano,keyboards
Kishida Yoshinari - percussion
Ando Akihiko - alto saxophone
Ando Tatsuya - soprano saxophone
Soeda Yusuke - bass guitar
Tanaka Kotaro - electric guitar
Matsumura Takumi - flute,alto flute,bass flute,piccolo


2019 W26 0624~0630

0624 Mon
水の打ち合わせで森下へ。隅田川周辺を視察する。小雨。角打ちの「SORACHI」生が恐ろしく美味い。踏まえて、水について考える予定。
 
0625 Tue
父親が病気になった時に一瞬医療の道を目指したが、まず手先が不器用だし、他にも明らかに適性がない感じがしたのですぐ断念した。実際、うっかり医者になれていたら患者が可哀想だったと思う。病気の話を聞くと、あの時もっと医療の道で頑張っていたら今何か役立てたのだろうか、と思うのだけど、実際のところ専門以外の分野ではなかなか役立てないだろうし、専門でもどうにもならない事も多いだろう。最終的には祈る事くらいしかできないが、祈りには自分の無力さに押し潰されないように、自分自身を保つ意味もあるのだろう。
 
0626 Wed
「私はダニエル・ブレイク」見る。
昼に来た工事の方は、キャンピングカーすら自作してしまうという、すごい人だった。ギター弾きでもあり、赤ん坊は古閑メロディを好むと言っていた。チョウ・ヨンピルをお勧めしてもらったので聞いてみようと思う。工事自体は部屋の設備に不備があって延期になった。

0627 Thu
壁のボルトの打ち直しの件で管理会社とやり取り。暇なので、埃をかぶりかけていたMaschineの使い方を学び直している。一瞬で曲らしきものが作れてしまう、便利な機械である。
 
0628 Fri
妻、最終出勤日。いよいよ臨月。Outputのグラニュラープラグインと、Kompleteのアップデート版を買う。投資を始めようと10万おろす。暇になったので金を使ってみようと思う。ビットコインの相場を久々に見たらいつの間にかだいぶ値上がりしていて、年初めに手を出してみれば良かったとまた後悔する。ギターの指弾きがもっと上手になりたい。ジョアン・ジルベルトの映像を見ると、右手の角度が自分とだいぶ違うようだ。
 
0629 Sat
早稲田松竹で「皆殺しの天使」「ビリディアナ」の2本立て。ビリディアナは生涯最高映画の一つになりそうだ。単純に言えば善意が反故にされる話だが、単純にそうとも言い切れないように思える。ブニュエルには「神のおかげで無神論者でいられる」という有名な発言があるが、まさしくそういう映画と思った。帰宅してから「ブニュエル 映画、我が自由の幻想」を読み直す。
 
0630 Sun
朝「フルメタル・ジャケット」中学生の時にレンタルして両親と見たら、冒頭の教練シーンから言葉遣いがヒド過ぎて親に見るのをやめさせられた。それ以来、初めて全編見る。夜「ネオン・デーモン」見る。何なんだこの映画。