Dangerous Mind

Dangerous Mind

この日も渋谷。アップリンクファクトリー大谷能生さんの「フランス革命」というイヴェントに出演する。今回は『まだ名も無い表現主義的芸術運動に携るこの3アーティストが一挙に出演。彼らのパフォーマンスを目撃し、その可能性の本質を検証する。』回ということで、自分の他に小川てつオさんと、音がバンド名の二人が出演。まず最初に小川さんと俺と大谷さんとのセッションがあり、そのあとトークという流れ。最初のセッションでは小川さんの存在が強すぎて、俺は全くセッションできる感じがしなかった。なので、ライヴの間中ひたすら困っていて、自分にその時できることは、その「困り」をできるだけ素直に音で表明することだけだった。
複数の人数での「即興」的なライヴを見る時に嫌だなと思うのは、本当はわかっていない、ついていけていないのに、強引に知ったフリ、わかったフリをして、ただひたすら自分を出そうとするマッチョな演奏をする人がいる時で、即興のフィールドというのは、しかしある程度そういう誤魔化しがきいてしまう、誤魔化しを許す余地が広いものであるように感じる事だった。そういうものに対してはっきりとアンチでありたいと心がけていた結果の困りだったので自分的にそれは良い演奏だった。トーク時にその「困り」という話題が出たので、そういう風に説明をしたかったのだけど、うまく言葉で説明できずうやむやになってしまい、そういう視点を話者の間に提出できなかったようだった。これは折角トークの時間があったというのに勿体なかったなと後で思った。
音がバンド名のライヴはだいぶ久しぶりに見たんだけど、これはお互いがお互いの推進力になっているという意味で本当にバンドの良さというものが、バンドのかたちをとらずに出ていて、凄く面白かった。以前よりもスピード感が増していてポップになっていたのだけど、途中「ロックマンの新キャラクター」を考えるというコーナーでは、以前のようないつ終わるか全くわからない、果てしない長さがあって、一つのライヴの中に異なったタイム感の時間が両方ある事に、バンドとしての成長を感じた(テンポや拍子という事ではなく「時間感覚」そのものにバリエーションを持っているバンドは数少ないはずだ)。終わった後のトークでよっちゃんが「ロックマンのコーナーは時間が許せば24時間くらいやった方が良いライヴになった」みたいな主旨のことを言っていて、さすが自分の事がよく分かっているなと思った。この日集まった小川さん、音がバンド名、俺、そして大谷さんは、それぞれはっきりとしたコントラストというか、同じようにグチャグチャやっているようで、実はそれぞれだいぶ違っているなということが、このイヴェントによってはっきりしたと思う。見に来た人にどういう風に伝わったのか、どう思ったのかはまったく謎だが、自分的にはとても面白いイヴェントで企画した大谷さんはエラいと思った。