Dangerous Mind

Dangerous Mind

渋谷で「闇打つ心臓」という映画を見る。雑誌で紹介されているのを見て面白そうだなと思って行ったのだけど、期待していた意味とは全く違う形で非常に面白い映画で、これから見る人もいると思うので内容は書かない方が良いと思うけれど、中年が執拗に繰り返す空回りの時間にとうとう笑いの神が宿った、奇跡の瞬間のようなものが終盤あり、その一点だけでそれまでの全てが逆転し、見て良かったと本当に思える、とても心に残る映画になった。以前にも書いたような気もするし、書いて無いかもしれないけど、もし神というものがいるのなら、それは人間のかたちをしたものなどでは決して無く、笑いの神や、戦争の神や、汚れの神など、世の中のあらゆる事の神がいて、それらはそれぞれ笑いのことだけ、戦争のことだけ、汚すことだけしか考えていないと思う。だから、人がケガしたり、死んだりしても面白いものは冷酷なまでに面白いのだと思う。例えば、自殺した友達の死に顔が絶妙に面白かったりする事実から、或いは無善法師がイヴェントで踊っていて複雑骨折した時の衝撃的な面白さから、俺らは決して目を背けてはいけないと思う。この世の中は決して人間中心で動いているわけではなく、もっと冷たくて美しい世界が背後に存在していて、人がギリギリまであがいた時には、そういう神が人間の意図とは全く別のかたちで降ってくる瞬間が確かにある。そういう魔法の時間がこの映画にもあり、俺は渋谷の映画館で笑い死にしそうになったのだった。
その後、高円寺の竹田君の家で、前回のコラボレーション大会時から始まった楽譜の研究会の第二回が催され、朝方帰宅する。