Dangerous Mind

Dangerous Mind

この5年くらいで一番回数聞いてるアーティストは間違いなくフランク・オーシャンだけど、何度聞いても何が良いのか、あまりわからない。ただただ繰り返し聞きたくなる。
彼の音楽についての的確な批評があれば遭遇してみたい。でも、分析的に聞く気を失くさせる何かがあるんだよな。
10代のリスナーみたいに、ただただ聞きたくて聞いている。
そういう気持ちになれる人は今、他にはいない。
流行りを一応押さえたい、とか、過去の名演から学ぶとか、この曲はどの機材を使ってそうとか、参照マインドでのリスニングもそれはそれで最高に楽しかったりするのだけど、かつては、全くそういう気持ちなく、どの音楽についても聞きたいから聞いていて、そして一般的には何歳だろうとそれが普通の事だったりもする。
何が良いのかわからないのに、それでも良いと感じるということは、心の奥にまで届いた何かを受信して、それに引っ張られているということなのだろうか。
耳から入ってきたものを脳が逐一処理しているのなら、理屈の上では、良いと感じる理由がなければ、良いと思えないのではないのか。しかし、そこを越えて、良いという印象の方が理由に先んじてやってくる。これは当たり前のように日々、人間の中で起きている事だが、考えてみると、とても不思議な現象だと思う。
少し話は飛ぶけど、AIは果たしてこういう理屈を越えた印象としての「良い」「悪い」、「好き」「嫌い」の感情をいつか持つ事ができるようになったりするのだろうか。