Dangerous Mind

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馬に関連した音楽のリスト

馬に関連する音楽を探していた。
今年は午年で、正月は暇だからだ。
まず思いつくのは、もう二十年聴き続けているこの曲で、そこから連想していった。
・Wild Horses / The Rolling Stones

イントロのアコギの頭がほんの少し切れていて、フェードインしてくるところに謎があって良い。
歌詞は抽象的な内容で、サビの

Wild horses couldn't drag me away

については、いくつか解釈が存在する。
その一つに、自殺未遂を起こしたマリアンヌ・フェイスフルが、病院のベッドで目を覚ましたときにミック・ジャガーに最初に語ったセリフが、この一行であるという説がある。
とすると、ここに登場する荒馬達とは、生と死の境目にいて、死すべき人間を捕らえ冥界へと引きずっていく、神話的で象徴的な存在である。
自殺未遂事件の少し前にはブライアン・ジョーンズが不可解な死を遂げてもいるので、その事との対比というか、死に引きずられていった人間と、そうでない人間の違いは、生と死のリンボー地帯に棲息する馬の群れが、その人間を連れて行くかどうかだけ、というような、儚い死生観が感じられる。
それが音楽のイメージと良く合っているので、そこにとても惹きつけられる。


・Wild Horses / Prefab Sprout
http://www.youtube.com/watch?v=2xOke9yb_mk
ストーンズの曲とまったくの同タイトルだが、カバーバージョン等ではなく別の曲である。
Prefab Sprout には他にmoondogという曲もあるし、最新作のタイトルは「crimson/red」だったり、そういう紛らわしい、人が間違えて買うようなタイトルの付け方が好きなんだと思う。


・My Rifle,My pony and Me / Dean Martin
http://www.youtube.com/watch?v=TACH9AJsuMw
馬が必ず登場する西部劇は馬ソングの宝庫だろうと思うが、とりあえずパッと検索して出てきたのはこの曲。
ディーン・マーティンストーンズとの絡みとしては、初USツアー時に本人司会の番組に出演したストーンズを酷評したというエピソードが有る。ロック嫌いで有名だったフランク・シナトラと長年活動をともにしたような人なので当然と言えば当然なのだろうか。


・I want a horse / Linda Ronstadt
http://www.youtube.com/watch?v=2vkmtsAIef8
リンダ・ロンシュタットにはミックジャガーと交際していた時期があり、彼女はストーンズの代表曲「タンブリング・ダイス」の詞のモデルと言われる。
そして彼女のデビュー時のグループ名は「The Stone Poneys(石でできた子馬たち)」であり、何だか因縁めいたものを感じるし、本人はよっぽど馬好きなんだろうとも思う。


ポニーと言えばビートルズ
・Dig a Pony / The Beatles

は、歌詞がほとんどさっぱりわけがわからない曲。
実際「適当に韻を踏んで遊んだ曲で、ゴミのひとつさ」というジョン・レノンの力強いコメントもある。
しかし、この曲の以下の部分はビートルズのやる事なす事を真似する(という風にジョンに思われていた)ローリング・ストーンズを揶揄した部分であるとされる。

Oh, now I roll a stoney
今俺はストーンをロールしている
Well, you can imitate everyone you know
そうさ、知ったものは何でも真似すればいい
Yes, you can imitate everyone you know
誰の真似をしたって構わないよ

以上ここまで、wild horses/ローリング・ストーンズから連想する馬ソングリストでした。



ビートルズ解散後のジョージ・ハリソンは、自身のことを謙遜して、元メンバー四人の内ではDark Horse「穴馬」的存在と、自分の曲で称する。
・Dark Horse / George Harrison
http://www.youtube.com/watch?v=vPnLXjx5qOg


そしてジョージ・ハリソン生前最後のレコーディングとされる曲も、偶然馬絡みの曲なのである。
・Horse to the water / George Harrison
http://www.youtube.com/watch?v=-Vpov5SOTEI
ジョージは菜食主義者だし、馬に近い人間なのかもしれない。

タイトルのhorse to the waterというのは英語の諺

You can take a horse to the water, but you can’t make him drink.
馬を水飲み場に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない。

に由来する。
人(馬)を物理的に動かすことはできても、心まで自由に動かすことはできない。
ともとれるし、
人に機会を与えることはできても、成果を掴めるかどうかはその人(馬)次第
ともとれるが、どっちなんだろうか。



・Rawhide
http://www.youtube.com/watch?v=m6BXvWwAa48
は馬に乗った男達が3000頭の牛の群れを追い立て、テキサス州からミズーリ州まで連れて行くテレビドラマの主題歌。午という字は牛にとても良く似ている。
動画を開始してすぐ、掛け声や馬を打つ鞭音SEが聴こえる。


同様に馬関係SEが使用される曲として
・Back in the saddle / Aerosmith
http://www.youtube.com/watch?v=lX8GG3dnsp8
開始間もなく、歌が入る直前に「ヒヒヒヒーン」みたいな馬の鳴き声が右chから入る。
二番になるとそれを模したであろうギターのチョーキングが左chに同タイミングで入る。
ついでに後奏のときはヨーデルやら犬の鳴き真似、カンフーか何かみたいな戦闘音等が左から聴こえてくる。
変な曲である・・・。

          • 国内編-----



とりあえずパッと思いつくのは競馬関係ですが

走れコウタロー/ ソルティー・シュガー

元々はバンドの練習のたびに遅刻を繰り返すボーカル・ギターの山本厚太郎を茶化す歌だったらしいが、同名の「コウタロー」という馬がいたため、競馬ソングとして完成させたら百万枚の大ヒットに、という嘘みたいな面白エピソードがwikipediaにのってました。


さらばハイセイコー  / 増沢末夫

70年代に活躍した名馬ハイセイコーの競走馬引退を記念した曲。歌手の増沢末夫さんは当時メインでハイセイコーに乗っていた現役騎手で、この曲はオリコン四位に。
両エピソードあわせて、昭和って何か良いなーと思う。


俺ら東京さ行ぐだ / 吉幾三 
http://www.youtube.com/watch?v=wQ2zeulYjnI
1番のキメ台詞「東京でベコ飼うだ」が有名ですが、2番には「東京で馬車曳ぐだ」というキラーフレーズがあります。


・馬 / 吉田拓郎
http://www.youtube.com/watch?v=2z9yfJG3vhw
最初、ただ走っているだけの馬が、最終的には何でもしてしまい、そして特にオチは無くシュールな曲。

国内は朗らかなイメージの馬テーマ使用曲が多いのかな。


最後に、黒澤明の「影武者」で、戦場に無数の人と馬の屍体が横たわっている、無残、かつ物凄く印象的なシーンがあったので、あのシーンにはどんな音が付いていたのか、確認して終わりたかったんですが、残念ながらそのシーンの動画は探せませんでした。
・「影武者」のトレイラー
Kagemusha, Τhe Shadow Warrior (1980) trailer

そのシーンはほぼ無音だったような気もするな。
要確認です。


代わりに、多少正月ぽいということで川中美幸の「天空のペガサス」
http://www.youtube.com/watch?v=u04o_o5bycs


ここでさらにペガサス系とか一角獣とかも含めて探し始めるとキリがないので(でも、ポール・モーリア「ペガサスの涙」という曲はかなり変な曲だと思うので気になる人は探して聴いてみて下さい。他、聖闘士星矢の曲とかがある)今日はこの辺でやめとこう。
人間は馬に対して身近でありつつも、どこか神秘的なイメージを持っていて、他の動物と比較して、親しみと同時に、敬意や畏れのような物を抱いているという印象を、この馬ソングリサーチを通じて受けました。
あと、クラシックだとウィリアム・テル序曲とかが有名な馬曲みたいですがジャズ系では何があるんでしょうか?インストゥルメンタルによる動物表現ということで、興味が沸きますが、少し飽きてきたのでまた次の午年にしたいと思う。


というわけで長くなりましたが、2014年もよろしくお願いします。