Dangerous Mind

Dangerous Mind

2月3日
CDの発送日せまる。もともと一枚入りで工場から送られてきた紙ジャケCDを手作業で二枚組にしてからOPP袋にいれ、シールを二種類(一つはバーコード、もう一つは二枚組ですというインフォ)貼る、という作業を数百枚。昼間は昼間で仕事の引き継ぎがあって忙しく、まあ、二枚組にしたのも自分ならアメリカ行くのも自分なので仕方がないのだけれど、とにかく大変。作業時間が深夜にしかとれずキツい。
この日は俺はこんなもんじゃないのライヴ映像上映のオファーがあり、お茶の水ジャニスへ。巨大スクリーンで迫力の映像が流れるようだったが、その後ハズレッシヴのスタジオがあったので自分のは見れず。しかし、ああいう店舗一体型のイヴェントスペースっていうのは店にとってもやる側にとっても大変都合が良いのでもっと増えたら良いなーと思う。防音問題がネックなのかな。下北でメカネロ林くんにバッタリ会う。

シール貼り作業の様子。
2月4日
西麻布bullet'sにてnice shot vol.20。俺はこんなもんじゃないで出演。絨毯の色に合わせてES335を使用。勢いのあるライヴが出来、反応も上々。CD沢山売れる。ナイスショットは割と初期の頃から関わっているけれど、回を重ねる毎にカオス度が上がっていて、とうとう今回はユダヤジャズまで登場していた。相馬さんによると、俺と藤井くんと相馬さんは地獄高校の同級生である、とのこと。同じ事を以前スエタカさんにも言われたような気がする。
ユダヤジャズのVJは最高だったし、他のライヴもとても良かった。今回はイヴェント通しでPAをやっていたため、ヘトヘトになって帰宅。

どこのぼっちゃんや。(撮影:kouskeくん)
2月5日
CDいよいよ出荷。パンパンに詰まった激重の段ボールを持って深夜コンビニへ。あまりに重いので途中、何度も立ち止まって休憩。雨が降ってなくてよかった。
いやー、今回のは本当に色々手間がかかった。
まあ頑張ったからって理由で褒めてもらえるのは小学生までだと思うので、出荷された後は内容で勝負なわけですが、売れると良いな、本当に。

部屋がむちゃくちゃや。
2月6日
四谷でスタジオ。今回の新曲は割とまとまりが早く、7割型仕上ったかなという印象。やはり壮大系の楽曲だ。
イースタンユース/ひょうたんの二宮さんよりCDのコメント届く。二宮さんの事は勝手に先輩だと思っているのでとても嬉しい。何よりもバンドマンとしてとても尊敬している人だ。
俺はこんなもんじゃないの新しいアルバムを聴いたら、奇妙な夢を見たような気分になった。
覚めてからも胸の奥がもやもやして、薄気味悪さと、しかし、心地よい幸福感も覚えており、堪らん気持ちで、もう一度CDプレイヤーのスイッチを押した。

eastern youth, ひょうたん / 二宮 友和
2月7日
京橋で授業を受けた後(最近の内容はとても面白く、早速新しい曲に取り入れている)、武蔵小金井アートランド「ブルース転がし祭」へ。着いた時は既に23時近く俺の次に出る予定だったジョニー大蔵大臣さんが、繰り上げでとても迫力のある自作のブルースを歌っていた。順番を入れ替えてもらって演奏。今回は自分のギターを持って行って、なるべく一つの音でブルースをやってみる。EだったらEだけ。AにもBにもいかない。というか、e音しか使わない。恐らくブルースというのはそういうものだろうと思っている。形式は後からやってくるもので、あくまで感情が先行していないとブルースにはならないのではないだろうか(音楽にはなると思いますけど)。ブルースっつうと7thでⅣいってⅤいって、っていういわゆるブルース進行の話になりがちだけれど決してそういうものじゃないと思い、それを実行してみたのですが録音してないので結果は不明です。評判は良くてCDも売れる。CDでやってる事と今日やった事は一見違うようで全部同じ事だと思っています。
一郎にタワー渋谷店用に作ってもらったポップもらう。イイ!のだけれど、色んな意味で(素材とか、サイズとか)はみ出し過ぎてるかなー。

作者と作品。セメント製。デカくて重い。山頂の雪部分は本当の雪みたいにこぼれます。
2月8日
昼間の仕事がとても忙しい。忙しいと、別にもともとやりたい事ではなくても、やり終えた時に変な充実感を感じてしまう。それが悪い事だとは思わないのだけれど、世の中の会社人間、仕事人間と呼ばれるような人々の大半は、この充実感をエサに大してやりたくもないような仕事を、何十年間も熱心にやらされてるんじゃないかな、と思ってしまう。まあ、それぞれの立場に立ってみないとその人の事はわからないし、何が個人にとって幸福か、なんてことはそれに輪をかけてわからない問題なわけですが。村上春樹の「アンダーグラウンド」を読んでて、特にそう思ったんだよな。
ジャニスへ機材を借りに行った(スタッフでとても協力的な人がいるので、大変助かっている)あと、高円寺で前野さんと打ち合せ。途中真美鳥岩永くんにバッタリ会う。相変わらずかっこいいバイクに乗っていた。
前野さんの録音がしたいので、頼んでやらせてもらう事になる。良い音源にしたい、どうしても。その後無善寺で早川タックのライヴを見て帰宅。

ところで最近ハズレではスタジオで起こるハウリングの事を「夜叉丸」と名付け、六人目のメンバーとして正式に迎え入れる事にしたのだけれど、その矢先、ホームグラウンドの無善寺近くで同名のバーを早川パワーが発見。
2月9日
タワ−渋谷にセメント製の看板を持って行く。担当の人が不在で扱いは保留に。店内で「さくぶん」加藤さんにバッタリ会う。一年ぶりくらいだ。その後、公園前クラシックスにてsimフィーチャリング佳村萌のライヴを見て帰宅。会場で吉田君に会う。外にでると雨が降っていた。
2月10日
CD発売日。フライヤーを撒いたり、店頭の様子を探ったりするために色んな場所に。展開情報に関しては以前の日記を見てください。今回はかなり試聴機に入っているので、売れると思う。試聴機やヘッドフォンを確認するために(実際、ある店では不具合があって音が割れまくっていたので機械を交換してもらった)自分でも聴いてみるのだけれど、自分のCDが他のに比べて断然良いと思う。
夜、京橋で自主制作のフィルムを何本か見るのだけど、ここでありえない偶然が。何と前日に一年ぶりくらいでバッタリ再会した加藤さんが、スクリーン上に再登場した!(医者か何かの役で)。加藤さんは普段から役者をやっている人ではないので、たまたまエキストラか何かで頼まれて出たのだと思うのだけど、あまりの偶然に笑う事もできず「えっ?えっ?これ何?」という感じだった。実は自分の方が映画なのではないかと思った。二日かけてこんな事が起こるのは本当にありえないレベルの確率だと思うが、こういう偶然が宝くじとかじゃなくて、何の役にも立たないようなこういう瞬間に発揮されるのが、自分らしくてとても良いんじゃないかと思った。
ディスクユニオンのフリーペーパー「日本地下音楽」を新宿でゲット。今回の特集では俺がインタビュー受けてます。内容はとても充実しています。タダなので是非手に入れてください。
雑誌のインタビューというのは、(個人的にそれが悪い事だとは思わないので書きますが)その殆どが掲載誌に広告を出すなりして枠を買わないと載らないものなので、今回のリリースに関してインタビューが載るのはこの小冊子だけです。数件オファーはありましたが、わざわざお金を払ってまでして自分の話を聞いてもらいたいとは思わないのでお断りしました。ただ、カッコ内で書いているように特別それが悪い事だとは思っていません。特に広告費だけで運営されているフリーペーパーなんかじゃその成り立ちからして当たり前の事だし、逆にそういう制約がある中で、どれだけ編集部のやりたい事をやって、独自の方向性を打ち出すのか、というせめぎあいのようなものは、緊張感のある誌面を産み出す原動力たり得るのではないかと思っています。
なので、まあ、読み手の側でリテラシーというか、別に沢山インタビューが載ってるからっていって、それは目利きの編集部員が発掘してきて是非読者の皆さんに紹介したい、実力のあるアーティストなんだ、という事ではない(金はあるよ)という事を把握した方が色々ダマされなくて良いんじゃないかと思います。(まあでも、そもそも気に入らないと広告載せませんか〜というオファーもしないと思うので、それは結局程度問題なのですが)
2月11日
朝、ヘンリーテニス奥村くん岸田くんやって来てミックス。やはりメンバー本人でないとわからない、曲に対するビジョン、見通しがあってとても勉強になる。良い感じに完成。
夕方からはCD営業へ。タワー渋谷のセメント看板は却下されたので、新しいのを作り直す事に。他、ビラ撒きなど。大体のお店は「お疲れさまです」と受け取ってもらえてとてもありがたいんだけど、時々無下に断られる事もある。それぞれ店舗の事情でスペースが無かったりしてしょうがないとは思うのだけど、嫌な感じの対応されるとつい、おめえの店なんか窓ガラス割れちまえ、とか思ってしまいますね。
所沢で韓国料理をごちそうになって帰宅。再納用の看板作りをしていて、行こうと思っていたイヴェントを逃す。仕方ない。

もったいないのでもう一度。
まあ、タワーレコードに置くのは無理だよな、石だし。
2月12日
会社の五周年記念の飲み会。上トロ、伊勢エビ、松坂牛など普段食えないものが続々と。当たり前のように美味しくて満足。
2月13日
四谷でスタジオ。新曲の全体像が仕上る。良い曲になった。あとは細かい部分の調整。
日記書いてる途中にタバタミツルさんからCDコメントが届きました!二宮さんの時にも思ったのだけど、コメントを通して人が浮かび上がってくる。タバタさんの姿を思わず思い浮かべてしまう。本当に素敵なコメントでとても嬉しいです。ありがとうございます!

OWKMJを初めてライヴで観た時から、「俺はこんなもんじゃないの宮殿」のフレーズが、耳に媚びりついて離れなかった。
1st Album "epitonic"でも僕はコメントを書かせてもらったけど、確かあの頃は彼らの存在を全く知らずに、初めて聴いてただ感想をコメントしたのだと思う。
あれから彼らのライヴを何度か観たり、対バンしたりしているので、ここに収録されている楽曲のいくつかは、僕にとって既に馴染み深いものです。
そのファーストのコメントで、確か僕は「サイケが云々」なんて書いてたと思うけど、もうそんな事は忘れて頂戴!
俺はこんなもんじゃない」は最早、「俺はこんなもんじゃない」以外の何物でもない。
それ以上、僕にはもう説明出来ません。
このアルバムを聴かない事には、どうしようもないでしょう。
確実に何処かへ連れてってくれます。
それではアミーゴ、Are you ready?

2月14日
夜、下北にて加藤くん編集のサカナマガジンのインタビュー受ける。3月4日の西麻布bullet'sナイスショットで配られる号に掲載されるものです。内容は普段の生活の事など。是非ゲットしてください。しかし酔っぱらってたので話が噛み合ってたのかどうか、不安だ。酔っぱらいついでにサイフを店に忘れ、終電も近く時間がなかったのでどこでもドアを使って帰宅。仕方ない。
ディスクユニオンのページにてフリーペーパー「日本地下音楽」のインタビューの中身が見られるようになってます。今夜から合わせて三回にわけて掲載予定とのことです。こちらもチェックを。面白い内容になってます。