Dangerous Mind

Dangerous Mind

朝、北野武監督の「キッズ・リターン」を見る。北野監督が描く、何かがやれる気がしてたけど結局何もできなかった人達はとても瑞々しくて、観ていると自然に心のバランスがとれてくる。
一人のチャンピオンの影には何千、何万のチャンピオンになれなかった人たちがいるし、一人のジミ・ヘンドリックスの影には何千何万のジミヘンになれなかった人たちが、ジョン・レノンの影には何千何万のジョン・レノンになれなかった人たちが、北野監督の影にも何千何万のたけしになれなかった人たちがいる(takeshi'sみたいに)。この世界で何者かになって何かを成し遂げるという事はとても難しく、殆ど何もできない可能性の方がよっぽど高い。俺はもうすぐ28になるけど、ジミヘンもカート・コバーンジャニス・ジョプリンもこの年までに偉大な作品を残してその生涯を終えている。アントニオ・カルロス・ジョビンや、ボブ・マーリーみたいに、後世まで語り継がれ歌い継がれるような素晴らしい音楽を一生かかっても一つも作れない可能性は高く(だって大半の人がそうなのだから)、しかしそれでも何かができるかもしれないと思い、何かをしたいと思っている。
要は、そういったトータル0の可能性を踏まえた上でやるか、やらないか、という事だと思う。人生を棒に振る確率が高いと理解したうえで、それでもやると思い切れなければ、今くらいの年齢に達して以前よりも現実が見えてきた時に、自分と周囲を見比べて精神的にアンバランスになってしまったり、パニックを起こして止めてしまったりする。現実に身の回りにはそういう人たちが沢山いる。これは30路にさしかかった人間に特によく現れる現象だと人は言う(通称「29問題」)。半端に、いずれどうにかなるだろうと思いながらやるよりは、どうにもならなくても良いから、それでもやる、と思い切った方が精神衛生上良い。既にどうにかなってる人以外は。
その後西荻でライヴ。映画を踏まえて思い切りの良いライヴになりました。自分らの後に出たプログレバンド、バカテクだったなー。中山さんお疲れさまでした。

キッズ・リターン [DVD]

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