Dangerous Mind

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後楽園ホールへ。ダフ屋のおっさんの方が入場券売場の人より良い人そうに見えるのは俺が人生経験少なく見る目が無いからなのか。払った金は闇社会に流れていくのか。よくよく考えたら友達の試合なんだから、まともに払って興行主なりジムなりにちゃんとお金が入っていくようにしなければいけなかったんじゃないのか、とかグジャグジャ考えながら五試合見て、ふと、今自分が座っている指定席がAの応援席と真逆である事に気付き、あわてて逆側に移動。小学校の時転入してきたAは俺の事を馬に似ていると言ったけど、それ以来犬とかゴリラとかはあっても馬に喩えられたことはなく、独特な感性の奴だったな、などと思いながら、本日のメインイヴェント、日本スーパーフライ級タイトルマッチ。何だか爽やかな音楽にのってA入場。中学卒業して以来一度も会って無い彼がいまリングに立っていて、俺はそれを正面の席で見ている。あらためて、福岡にいた十三年前には考えてもみなかった人生の流れにとても興奮する。昨日はなるべく殴られずに勝ってほしいなどとぬるい事を考えていたけれど、もうこうなったら何でもいいから相手をブッ倒してくれ、と心の底から願う。開始のゴングが鳴って、いきなり先制攻撃喰らうA。ペースが狂う。何と言うか、素人目に見ても相手の方がリズムに乗って、的確に攻めているのがわかる。有効打が殆どなく苦しい展開。終始相手のペースで打たれまくっているのだが、それでも一度もダウンは無い。根性で耐えつつ一発逆転を狙う苦しい戦いが10回まで続き、大差の判定で負ける。見てるこっちはとても悔しかったのだが、Aの態度はあくまで冷静で、そうだ、これは殴り合いだけれど、それよりもスポーツなんだ、と何だかとても厳しいもの、気高いものを見た気がした。でも勝ってほしかった。次も見に行こうと思った。