女優

昔一度だけ、ちょっとした仕事で一緒だった女優さんが、今は演技をやめて、芸名も変えて、あるバンドで鍵盤を担当している事を知る。
その日、相当低予算で無茶な現場にもかかわらず、彼女は前向きに、一生懸命仕事をしていた。けど、同時に、演じる事に対する一種の屈託のようなものを、何となく感じさせる部分もあった。
まあ、無茶な現場だったから余計にそうだったのかもしれない。
その時の雰囲気や話した内容を覚えていたので、何だかそのニュースには納得した。
大手の芸能事務所に短くない期間所属して積み上げたキャリアや名前を一度捨て、別の道を選ぶという事は、おそらくとても思い切りが必要で、また手続き的にも煩雑で、消耗する事だろうと思う。自分はそういう経験をした事がないので、うまく想像はできないが、きっとそういう物だろうと思う。
最近でも能年さんが本名で活動できなくなったりとか、色々とおかしな事がある。
まだ２０台前半だった彼女が、そういう苦しい決断をして、自分の意思で選んだ別の道を前進している事をたまたま知って、自分は何だか元気づけられた。
それがアイドルとかじゃなくて、バンドのいちメンバーなのも、何か良かった、というような事を書くと少し角が立つけど。（そのうちまたアイドル仕事を誰かに振って欲しい）