Dangerous Mind

Dangerous Mind

子供が沢山出てくる映像の仕事。子供は、子供なので自由にしている。誰かが喋ってようが、カメラがまわっていようが、3歳児たちは、その時、自分のやりたい事をする。先日、テレビで見た馬の子供は、生まれた瞬間、70cmくらいの高さから地面にボトッと落ちてきて、その数時間後に走りだし、すぐに草を食べたり、身の回りの事は一通りできるようになっていた。生まれた瞬間に、おおかた馬として完成していた。
かたや人間は、生まれて数年経っても、まだ夢の中にいるような状態で、意識がはっきりする迄にだいぶ年数がかかる。フラットな視点で、0歳の人と馬を比較すれば、この先発展しそうなのは馬の方だと、誰もがそう思うのではないか。しかし数年経つと人間の方が馬の背に乗って、あれこれ指図しているのである。
人類はスロースターターだが、その後の発展の度合いは大きい。マラソンで、序盤は体力温存して15km地点くらいからぐんぐん伸びて、最終的に他を圧倒する選手のような。だが、それなら人類最初期の赤ん坊は一体誰に面倒を見てもらっていたのだろう。それとも、当時は人間も馬の赤ん坊のように、生まれた時点である程度物心があって、自分で自分の身を守ることができたのか。その後徐々に、現在のスロースターター路線に移行していき、引き換えに頭脳の大発展を手に入れるのか。そもそも、スタートダッシュと後半戦の伸びは常にトレードオフの関係でなくてはならないのか。など考えながら、子供の声にフェード書く1日。