Dangerous Mind

Dangerous Mind

アメリカ滞在三日目、にしてようやくライヴの日。まず昼からダウンタウンにあるコンベンションセンターへ。ここでバンドの登録をしてパスをもらう。みんなでぞろぞろ移動してもしょうがないので俺とマスダだけポールの家に戻って、機材をタクシーに載せて持ってくるという手はずになるのだが、これが大失敗。フェス期間中はタクシーは殆ど出払っていて、何度電話しても全然繋がらないのだった。もしや電話のかけかたが間違っているのではないかと、近所のドラックストアの明らかにオカマっぽい店員さんに代わりに電話してもらったりしたのだがやはり無理。携帯電話も持っておらず電話番号がわからないので他のメンバーにも連絡できず、やむなく全員分の機材を抱えてバスで移動。これは見た目にもハンパ無かったようで、バスに住んでいる人たち(実際住んでいるのかどうかわからないが、生活必需品が詰まった沢山のビニール袋やカバンを持ち込んで乗っているため、そういう風に見えた。夜はバス停に住んで昼はバスに住むという短い範囲の移動生活を営んでいるんじゃないだろうか)が、わざわざスペースを空けるために全員降りてくれたりした。バスの行き先や乗り方を教えてくれた通りがかりのエリックさんは、これまた素晴らしく親切な人で、とにかくオースティンの人たちはみんなビジターに対して暖かい。彼らが力を合わせてSXSWを盛り上げていこうとしているのが、特に言葉もよくわからない外国人の立場からだととても良くわかる。地元を愛する、というのが具体的にどういう事なのか、生まれて初めて分かった気がした。
そんなこんなで会場であるThe Hideoutに到着。ここはバースペースとライヴスペースが扉で仕切られていて、普段はライヴの他にも演劇やショーなんかで使われるような感じの小劇場みたいなハコ。で、一バンド目が終わってセッティングするんだけど、これが物凄く良い音でびっくり。明らかに今までの会場の中で一番やりやすい。それぞれの音が太くてハッキリしていて、しかも良く混ざる、という理想の環境だった。電圧やら湿度やら色々原因があるんだろうけど、本当に何のストレスも無く用意してきた音楽が演奏できるなあ、という印象。心配していた客入りも椅子席は満員で、立ち見がちらほら。ライヴが終わった後はこの日だけでCDが30枚近く売れたのだった。何だよ、良い事だらけじゃないかよ!

対バンは地元のバンドが二つに、東京からmuddyworld、大阪からhyakkei。はじめ、アメリカまで来てどうして日本のバンドと対バンなんだろうと思ったけど、日本の変なバンドをまとめて見られるという事で、そういうのが好きな人が沢山来てくれたようだった。さすがブッキングもちゃんと考えられてるのね。
ライヴが終わってしばらく会場近くをフラフラする。野外ステージの名も知れぬメタルバンドを見物。パワーや迫力は物凄いが、いかんせんドラムの音が殆ど聴こえない。もう数件クラブをのぞくが、あまりパッとしたものはやっておらず、Hideoutに戻る。ちょうどhyakkeiが始まったところ。ちょっと音のバランスが悪かったのが残念だったかな。続くは本日トリのmuddyworld。一生添田くんみたいなギターは弾けないだろうな、と思う。両バンドとも注目度は高く、物販も賑わっていた。
帰りは無料の深夜バスでpaulの家の近くまで。バスの黒人運転手の人はずっとでかい声で客と喋っていて、それが英語がわからなくてもとても面白かった。前の席に座ったヒスパニック系のオッサンとcarl densonの話になり、二人とも明後日のozomatlipublic enemyが楽しみだという事で意気投合して握手して別れた。こっちきて初めてといって良いくらい英語が通じた。とにかくテキサスの人たちは良く喋るし、また喋らないとちゃんと暮らしていけないような印象を受ける。店のメニュー一つとっても表記が適当なので結局聞かないとあるのか無いのか、そしてそれが何なのかがわからない。聞けば、とてもフレンドリーに教えてくれるのだけど。

名前がわからないメタルバンド。遠くから音が聴こえてきてあまりにうるさいので振り返った。客はいなかった。

百景。
この日のライヴテイクをmyspaceに載せました。studiumという曲です。是非聴いてください。