Dangerous Mind

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山中湖

朝、マウントフジコーリング( http://www.metamo.info/fuji/index.html )という野外フェスに行くため吉祥寺に集合。電車でドンブラ四時間かけて昼過ぎに山中湖に到着する(途中大月で食べた「吉田のうどん」がうまかった)。が、目当てのフェミ・クティのライヴまで見るともう帰れないということがタイムテーブルを見てはじめて判明。しばらく話しあった結果、何も考えてない俺とヒロは山でオール(野宿)、マスダとしんちゃんはスライ&ロビーが終わったら終バスで帰ることにする。思ったより、というか思った通りというか、入場者数が少なかったようでダフ屋の人たちは困り顔だった。サマーソニックの時は良かった、と言っていた。
この日のステージは背面がつつぬけで演奏者のバックに富士山がのぞく好シチュエーション。なのだけど、その分ステ−ジ上の音をまとめるのが難しかったようで、各バンドモニタリングで苦戦していた。外音もあまり良くなく、ROVOの時には四人中二人が寝てしまった。俺は持ってきていた文春新書『Google 既存のビジネスを破壊する』を青空の下で読みながら、これは失敗だったかなー、と思っていたのだが、次のスライ&ロビーはそれとは関係なくヤクザ級にぶっとい音を出していて、90分間ひたすら圧倒された。とにかく一音一音の存在感、物質感が物凄く、スライ・ダンバーがスネアをヒットする、その一拍前の空白が、毎回ブラックホールみたいに自分を吸い込んでは、吐き出してくれるのだった。ロビー・シェイクスピアは中盤、やはりモニタリングの問題でやる気をなくしてひたすらウロウロしていたのだが、そういう時はキーボードの人がベース音を出してフォローしていた。ロビーは最後の最後にやる気に火がついたようで、他のメンバーが退場したあと一人で二分くらいステージ中央でベースソロをやっていた。自由な人だ。

フェミ・クティのバンドは大人数なのだが、メンバー個々のスキルに結構バラ付きがあって、ギターは神の領域をかすめていると思ったが、肝心のドラムは(やはりモニター問題で)演奏に集中できていないようだった。人数が多いというのはとても大変だと思った。通しで見た印象として、やはりスライ&ロビーの出音の強力さは尋常じゃなかった。
で、終演後、ここからがフェス本番ということで、俺とヒロはヒッチハイクで富士吉田の駅を目指した。俺らの少ない人生経験上「ドレッドの奴はみんな何も考えてない」という事になっていたので、終わったあと、テントもなければ交通機関もなくて、とりあえず歩いて帰ろうとしている奴なんか一杯いるだろう、と思っていたのだが、実際深夜に山道を歩いていたのは俺ら二人だけだった。野生動物と山賊に気をつけろ、とお互い確認しながら、下り車線を追い越していく車にひたすら親指を立て続け、百台目くらいでやっと優しいカップルの車が停まってくれる。途中検問があってドキドキタイムだったが、何とかやり過ごして富士吉田に到着(本当にありがとうございました)。
せっかくの野外フェスの帰りなので、何か特別なことをしようと思った俺らはスナックに向かった。一度も行った事のない場所に足を踏み入れてみたかったのだ。キャバレー、スナック、ラウンジが数軒並ぶ富士吉田の盛り場を見つけ、客引きのお兄さんにシステムを説明してもらったうえで、一時間二千円で飲み放題の「バンビーナ」という店に決める(というか、そこ以外高すぎて入れなかった)。が、あいにくバンビーナは人気店でなかなか席が空かないので、お客さんが出たらすぐ入ろうと店の真横で待機する。その時もとりあえずで車に親指立てていて、また一台停まってくれたのだが、やっぱりバンビーナに行きたいのでパスするという謎の行動をしてしまった(すいませんでした。とりあえずでヒッチするのは良くない!)。結局何度か電話してもバンビーナは空かず、かなり寒くなってきたので近くのフェミレスで待つことにしたのだが、椅子に座るとそのまま寝てしまって、起きたら朝だった。目が覚めてトイレから戻る途中の席にバンビーナの店員のお姉さんもいたので、笑ってしまった。
富士吉田からの始発電車は当然のようにすいていて、帰りの道は殆ど寝てしまった。
朝の新宿は人がいなくてとてもきれいだ。



西武線の車内でグーグルの本を読み終え、俺の夏フェスは終わった。

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)

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