Dangerous Mind

Dangerous Mind

最近、メロディのことで悩んでいる。悩んでいるというか、聴いている人にとって、正面からやってくるようなメロディしか、自分は作れていない感じがする。良い悪いは別として、メロディには2つのタイプがある。聞き手の正面からやってくるものと、聞き手の背後からやってくるもの。
ロック、ポップ育ちの人、要は旋律という概念がほぼほぼ歌と同義の環境で成長した人は、どうしてもリスナーの正面から語りかけるような、歌唱を模したメロディを作りがちだ。
しかし世の中にはもっと器楽的な、リスナーの背後から忍び寄ってきて、いつの間にか人を乗っけさらっていく小舟のような、或いはトロッコのようなタイプのメロディが存在する。これは、クラシック系の、器楽曲をたくさん聞いて育った人たちに得意な分野だと思う。
背後から来るタイプのメロディは、大抵息が長く、するすると流れて、いつの間にか強く存在している。
逆に、正面から来るものは途切れがちだが、印象的な開始点を持っている場合が多い。
その事を思ったきっかけは、この前、映画館で見た Shape of the water の冒頭シーンの音楽だった。
シェイプ・オブ・ザ・ウォーターについては、飼い主の、飼い猫に対するスタンス、アティテュードというか、諦念についても印象深かった(それはストレンジャーシングスにも通じる話だが、両作品はそれ以外の部分でも色々と共通するものがある)が、いずれそれについても何か書けたらと思う。