Dangerous Mind

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POLA X

早稲田松竹POLA X ソフトでは何度も見ていたが、劇場では初めて
すごく簡略化して書けば、世慣れしていない外交官の息子、ピエールが、手中に収めかけていたボンボンなりの成功や幸福を投げ打って、世を罰しようとして、逆に世に罰される、という話
結局のところ、我々もこれと似たような事をやっているのかも、いたのかも
隠された真実を芸術によって暴く
隠された真実とは?果たしてそんなもの実在するのだろうか
実在してほしいと願っている
でも、それは自分に都合良く、そう思いこんだだけかもしれない
結局、自身に都合のよい真実を身勝手に追い求めていただけだが、そのようなものはカラだ
だが、ピエールはおそらく最後までその事に気付かない
いや、気付いているが、気付かないふりをしているからタチが悪い その事によって周囲に災厄を撒き散らす
真実が存在するという仮定、あるいは今の自分の生活が偽物である、という仮定、そのものが不確かであり、それは要するに若気の至りの思い込みであった、
あるいは思い込み方のセンスが悲喜劇的に良くなかった。
と、そう読んでしまってよいものか
だが、その物語を映像で紡ぐ事によって「POLA X」という、他に無い芸術空間が目の前に存在し続けたこともまた、事実である
というか、自分が直接体験した事実は、そちらの事実だけである
自分はこの映画を何度も見て、そのたびに芸術や真実(あるいは芸術と真実)という事について考えるけど、見るたびに自分の考えが変化してることを感じるし、そういう巨大な魔の鏡みたいな作品


真理を探し求むるにあたっては
予期せぬものに出会うことを予期せよ
真理は見いだしがたく、見出されたときには人を途方に暮れさせるものだからだ
by ヘラクレイトス

2/16までレイトショー
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