Dangerous Mind

Dangerous Mind

2

浩介は目を覚ますとツイッターアカウント受付所へ印鑑持参で向かった。必要な各種手続きをおこない午前中には認証がおりてアカウントを受け取る事ができた。
これで、思う存分、自分の考えや、食べた物、政治的見解や話題の映画の感想、おはようからお休みの挨拶、有名人のお悔みまで何だってツイートする事ができる。それに何と言っても重要なのはバンドの告知だ。そもそもそのためにこのアカウントを手に入れたのだから。
浩介はさっそく自身のアカウントにログ・インしてみた。
気の利いたアカウントは気の利いた一言から始まる。さっそくつぶやいてやる。
しかしいざ、つぶやく段になると何も言うべきことを思いつけないのだった。
だが、せっかく手に入れたアカウントである。何でも良いから、何か入力しないと気が済まないのが浩介の性分だ。

「書」
「3秒」
「孫」

何でもいいとは言ったが、さすがに断片すぎるのではないかと思った。しかし浩介に今できる精一杯のツイートはこの3つで限界だった。それは浩介がその時たまたま目にした車内広告の文字だった。

いや、そうじゃない。だって明日はライヴじゃないか。そのことを告知すれば良いのだ。
しかし、その時たまたま走ってきた犬が浩介のスマートフォンをくわえて走り去っていった。

https://twitter.com/kkariu71569