Dangerous Mind

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三回目 10/27UP train train

レコーディング、ライヴ、壊れかけのミックス、などなど意外と暇じゃなくて良かった今週ですが、怪奇dvdの劇判も今週なかばに終わりました。気がつけば三本目の怪奇ということで小慣れてきたのか、今回はわりと面白い曲を提出できたような気がする。なかでもオープニングテーマは衝撃的なものができたので(そしてエンディングはふざけすぎていたので没って差し替えた)、いずれ発売される頃にでもアップしたいな。

というわけで曲を毎週アップする行動(なんかこの行動に好い加減良い名前つけたいな、アップンロードでどうだろう)の三回目です。


狩生健志のアップンロード世界の味 第三回
「train train」

地下鉄で歌ってるオッサンがいた。大江戸線はいつも通り、何でこんなにっていうくらい、ゴーゴーガーガーとうるさかった。こんな地中深く掘った穴の中に車を通してあちこち移動している俺らは間違いなく変な奴らだった。

オッサンは電車が駅を通過するたびに奇声をあげた。でも一歩ひいて考えてみたらオッサンの行動も別に自然じゃないか、とか、そういうことが言いたいわけではなかった。事実、オッサンの気持ちは俺には一つもわからなかった。
が、あえて言うならオッサンの気持ち同様、その場にいるどの人の気持ちも一つもわからない、とは思った。

そういった、すべての考えを保留にして、とりあえず録音しておいた。
レコーダーにとっては状況に意味なんかなくて、ただただメーターを揺らした音波が記録されていくだけだった。

ある日、しばらく保留していたアコースティックギターのフレーズに、オッサンの声と地下鉄の音がマッチした。ブルージーな世の中に生きているんだな、と思った。

何かの本で誰かが、自分たちがいつか死ぬという事を、行き止まりのトンネルに猛突進している電車に喩えていた。うまい喩えだなあと思った。

・日本では、ほとんど毎日、人が電車に飛び込んで死ぬ。
・衝動的に、死にたい、と思った時にそういった死にたいメーターのピークをおさえるリミッター的な感じの動きを電車は物理的にしている。
・黄色い線の内側の、さらに内側という生死の境目が明白に、目の前にある。
・それぞれ生活している人間を大勢詰め込んだ凶器
・その日は沢山の人が立ち止まったり、帰宅のルートを変更したりする。
・迷惑がる人はいても、悲しんだりする人は(少なくとも東京のターミナル駅のホームなんかには)あんまりいない。このことを心が死んでいる、と見なすかどうかは割と複雑な問題なのかもしれない。
そういえば「三四郎」の中に電車に飛び込む人の話が出てきたな、どういう話だったかな・・・
あ、書いている内容とアップした曲とはあまり関係ありません。
ついこの間、口ロロの「トゥナイト」って曲をタワーレコードで聴いた。
主人公が死んでみたっていう設定のミュージカルみたいな曲なんだけど、途中で「タクヤに会えるかな」っていうセリフがあって、こういう曲を作って発表できる彼らのことがとても羨ましく思った。
あの時、彼の周りにいた友人たちは、それぞれがそれぞれのやり方で、タクヤ君の人生を、少しずつ生きている、ような気がする。

http://www.myspace.com/kariukenji