六本木
六本木スーパーデラックスへcalのイヴェント「テストトーン(http://soundispatch.com/ )」を見に行く。calは日本在住のカナダ人で彼のバンドFallopian Disco Forceとは、よく無善寺で一緒にライヴをやっている。その時毎回思うのは欧米人はショーの観客として、とにかくその場を楽しもう、という努力を惜しまない、という事で、客席の側からもできるだけポジティブなムードを出して、イヴェント通してお互いが今のシチュエーションを最大限に楽しめるような状況を演出しようとしている。この感覚は、頭ではわかってはいるんだけど、なかなか自分では実現できていないもので、どうしても他人のライヴを見ていると「自分の曲にも使えそうなアイデアだなー」とか「ここでこうするともっと良くなる(or悪くなる)なー」とか考えてて、気付けば腕組みしている時が多い。で、彼らがただ騒いでいるだけで何も考えていないのかというと、そんな事は全くなく、変わらぬ笑顔で、凄く辛辣、もしくは的確なコメントを述べる(しかも日本語で)ときがよくあるので、これは結局精神的な体力の問題というか、いかに余裕のあるリアクションができているかどうかの問題である、と思う。
で、六本木のイヴェントの音楽は自分にとってあまりグッとこず、またまた腕組みしてボケッと突っ立っていたわけで、今日も自分はダメだったのだなと思いながら地下鉄に乗る。車中にて細野晴臣の「アンビエント・ドライヴァー」を読み終える。音楽家としての葛藤や、強い意志が、一冊通してあくまで上品に語られているところがとても感動的だった。品性を崩さずに何か強力なことをやり遂げる、というのは、とても大切な事なのではないか、と思う。実現した結果はもちろんだが、実現のプロセスに対する価値というものを追求することが二次的に新しい何かを生むのではないだろうかと思う。
自分にはそれがない、とストイックに反省ばかりしているつもりでおそらくただ単にそういうモードに突入しただけであろう読書の秋は勝手に今日が第一日目。
アンビエント・ドライヴァー THE AMBIENT DRIVER (マーブルブックス)
- 作者: 細野晴臣
- 出版社/メーカー: マーブルトロン
- 発売日: 2006/09/28
- メディア: 単行本
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