Dangerous Mind

Dangerous Mind

高校時代にマイソンというバンドを一緒にやっていた松尾が家に来た。彼は今宗教の研究をしていて、その調査でカナダに行った帰りに東京に寄ったそうだ。普段は札幌にいる。もう二人いたバンドのメンバーの片方は唐十郎の劇団に入り、もう片方は数年前ホームレスになったという噂が流れ、連絡が途絶えている。マイソンは今思うとひどくジャンクなバンドで、みんな当然のように楽器のチューニングができず、物凄くヘタクソだった。あんまりヘタなのでスタジオに入る意味を見出せなくなり、もう最後の方は公園でマラソンしているのを録音したり、カラオケボックスでギターを弾いたり、近所の山に登ったりしていた。そんな活動を続けるうちにいつの間にか自然消滅的に解散していった(当然ていえば、当然)のだが、それらの活動は今もある種の極点として自分の中に存在し続けている。何と言うか、これ以上退屈で、役に立たない、グダグダなものは自分の中に無い、という基準が、その時出来上がったように思う。とりあえず無事の帰国を祝して鍋を囲む。色々話して就寝。