Dangerous Mind

Dangerous Mind

台風やってくる。高円寺にライヴを見に行く。目当てのベテラン揃いのバンドは奥行きのある出音の、余裕とテンションを兼ね備えた素晴らしい演奏を見せる。さすがだと感じ、ストレートに勉強になったのだが、その前に出ていた見た目のコワい三人編成のバンドが自分の心を深くとらえる。タトゥー、髭、なぜかスカート着用の、とにかくとても悪そうな外見なのだが、やらされてる感溢れる、一回一回考えながら弾いてるような演奏で、出音もすごくラウドなんだけど(それ故にか)ペッタリノッペリしていてリアルじゃなく、変な発音の英語のサビをフロントの二人が絶唱し、彼ら目当ての客は会場には殆どおらず、前の方で見ていたメンバーの彼女らしき女性も、中途半端にノリながら時々携帯見ていたりして、しかしステージ上ではやたらハイテンションな世界が繰り広げられていて、何曲目かのラスト、例のドラムがドカドカドカッとソロみたいなのを入れてバーン、って終わるところで、あんたそれ人生何百回目のドカドカドカッバーンなんだよ、と思い、その瞬間、何かかけがえのないものを感じ、その会場の空気が、とても美しいもののように思われたのだった。一方通行のステージは尚も進行し、よくわからない不良性や、よくわからない優しさ、総合的によくわからない音楽が発せられ、会場はシラケきった拍手でそれに応じ、そこにまだ名付けられていない未知の何かが交換されている事を感じ、とてもインスパイアされてうちに帰った。台風だけど出かけて良かった。