Dangerous Mind

Dangerous Mind

友達の命日。とても良い天気。線香あげにいく。二年前の今日に彼が死ぬ事を選んだのなら、俺はその日から生きる事を選んだのだ、と自分勝手な事を考えている。彼が死ぬまで、心のどこかで、「死」なんていう物凄い事は、あり得ない、不可能な事なんじゃないかと、判断を保留してきた部分が、確かにあった。「生」という現実に対してどこか曖昧な、ぼんやりとした感じを抱いていた。両親の意志によって発生し、この世に生まれ出てきた瞬間の、その延長線上にあるような、そんな状態。だまっていても、何もしなくても、明日は向こうからやってくるのだろう、とぼんやりとしていたのだけれど、そんな奇妙な安心感は粉々に砕けて、死のうと思えば死ねる、という当然を、彼は、心の底から実感させてくれた。
死は、生きている者たちにとっては、どうしようもなく巨大で、とり返しのつかないものだった。彼にはそれから二度と会えない。死んだ人間には生きている人間は会う事はできないというような、至極当たり前の事が、こんなに物凄い事だなんて、本当のところ、自分はその日まで知らなかったのだ。
まあとにかく二年前の今日、俺は強烈に「生きたい」と思った。それはおそらく、今の自分のほぼ全てなんだと思う。
生協で線香「青雲」購入。青の背景にそびえる特色金の富士山に雲かUFOかわからない中途半端な水色の物体がポツンと一つのっかっていて、すっごい良いパッケージデザイン。死んだ友達が好みそうなセンス。彼はとても才能のあるデザイナーでイラストレーターで音楽家だった。手をあわせていると、とても暖かい気分になった。

「のだめ」読みながら高円寺へ。ハズレッシヴのライヴ。リハ後中華食す。睡眠不足と疲労であまり体が動かなかったので、待ち時間に近くのマンションの階段で準備運動。武田さんが通っているスクールの課題を最近教えてもらったんだけど、それやるとすんごい落ち着く。両手両足を決まった順番で動かすだけなんだけど、頭と体がちゃんとつながっている事を実感できる。そのかいあってライヴは良い感じ。リラックスとテンションがどっちも自分のできる範囲で最大、というのが去年からの目標の一つなんだけど、それが、だいぶやれた。もう一つ、本番まで練習しまっくて、本番では全部忘れる、という目標もあるんだけど、これも、少しはやれた。で、他人の音も自分の音もまあまあ注意深く聴けた、というライヴでした。