Dangerous Mind

Dangerous Mind

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昼間に電車に揺られている。向かいに二人並んで座っているおじさんの内の一人が不意に何かを思い出したように席を立ち、視界の左へと退場する。
残った方は真っ直ぐ前を見たまま、上半身を少し屈め、隣の空席の下方を左手で、何かを確かめるようにそっと撫で始める。神社とかにある、触ると腰痛が治るご利益のある石のような感じでさすっているが、相変わらず姿勢は前を向いたままだ。
同じ場所を向かいの(要するに自分の隣の席の)男子高校生や、自分もさわりに行く。
突然、左から30歳前後くらいの女性がやってきて、その空席に座ってしまう。
一同はハッと驚いたような、困惑したような、一種独特の表情でお互いを見合うが、諦めたように、無言のまま、少し悔しそうにして、元いた席へ戻っていく。