Dangerous Mind

Dangerous Mind

最近のスパムより

もう使っていない古いメアドに届き続ける大量のスパムメールを、時々まとめ読みしている。スパムにも時期によって微妙に傾向というかムーブメントがある(時事ネタとかじゃなくて文体や設定のレベルで)。
最近は、スパムとして読まれる事前提で笑わせようとして送ってるんじゃないかと疑りたくなるような、面白さ優先、ネタみたいな内容が多く目についた。でも、今日届いたこのメールについては、それとは別種の不気味な意味不明さがあった。次、こういう波が来るのかな。
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開業医の近藤と申します。
先日、7歳になる息子を交通事故で亡くしました。
息子の事は忘れる事はありませんが、嫌な記憶を消したいと思ってます。
そこでお願いなのですが9000万受け取って頂けませんか?
見返りなどは一切ありません。
受け取り期限は1週間です。
貴方にご迷惑をお掛けしない事はお約束します。
(url)
詳細を記すのでご覧下さい。
ご連絡お待ちしています。
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まず、送信者の性別が最後まで不明
「開業医」という記号的ワード
身内の不幸に遭遇した人間の心の隙間を埋める、というスパムの定型シチュエーション(の形骸的使い回し)
9000万という金額
「9000万円」じゃなく「9000万」と口語的に書く事
9000万を赤の他人に支払う事で嫌な記憶が消えるという、一般的に謎としか言いようのないメカニズムについて一つも説明無し(このスパム作成者の個人史や心理状態が不意に立ち現れている感じがする)
9000万円受け取って、更に見返りというのも意味的に変だがスルー
全体を通して伝わってくる「信じるやついねえよ」という作り手の投げやりな感じ、無力な感じ その事と幼い息子を亡くすという想像し得る限り極大の悲しみとの、意図せぬ暴力的なコントラスト
それらの要素がテンプレートに文章をはめ込むように強引に繋ぎ合わされていて、読んでると何だか鈍器で心を殴られてるような気分になってくる。微妙に意味不明な事柄が短い間に連続して出てくるのが読後に尾を引くので、うっかり気になって読み返し、結果的にURLクリックしたくなる。(←ダメじゃん)
自分はこういった複雑な出来事に興味があるし、バランスという事で考えると、こういった事象をある種の参考にして(でもこれは根源的なインスピレーションにはなり得ず、あくまで参照する類の事柄だと思う)、自分の曲に活かしているつもりである。なので、もし暇なら、これをぼんやり踏まえてもう一度色々聴いてみてくれたまえ。そしたら嬉しい。